葛飾北斎の『北斎漫画』は、人物、動物、植物、風景、神仏や伝説の人物など、さまざまなものを描いた絵手本です。初編が刊行された文化11年(1814)から長く出版が続き、十五編は明治11年(1878)に刊行されました。
北斎は嘉永2年(1849)に亡くなっているため、十五編は北斎の死後にまとめられた巻です。British Museumでは書名を「片野東四郎編集 北斎漫画 十五編」と記録しており、出版社の片野東四郎が編集した巻であることが分かります。1814年に始まった『北斎漫画』は、この十五編によって全15編のシリーズとなりました。
『北斎漫画 十五編』とは
『北斎漫画 十五編』は、現代のように物語をコマで読み進める漫画ではなく、さまざまな形や動き、構図を描いて見せる絵手本です。British Museum所蔵本は30丁からなり、墨、薄墨、淡い朱色による三色摺で作られています。
十五編には、植物、動物、風景、神話や伝説に関わる題材などが収められています。十三編までは北斎の存命中に刊行されましたが、十四編と十五編は没後に刊行されました。そのため十五編は、北斎自身が晩年に新しく一冊を描き上げたものというより、残された図をもとに編集・出版された『北斎漫画』の最終巻として見る必要があります。
基本情報
【絵師】葛飾北斎
【作品名】伝神開手 北斎漫画 十五編(でんしんかいしゅ ほくさいまんが じゅうごへん)
【刊行年】明治11年(1878)
【編集】片野東四郎
【版元】永楽屋東四郎(British Museum所蔵本)
【種類】絵手本・版本
【丁数】30丁(British Museum所蔵本)
十五編はなぜ北斎の死後に刊行されたのか
『北斎漫画』は、一度に全15編が計画されて刊行された本ではありません。初編の人気を受けて続編が作られ、長い年月をかけて巻数が増えていきました。北斎の死後もその人気は続き、残された図や版木をもとに出版が続けられました。
British Museumは、『北斎漫画』15編のうち十三編までが北斎の存命中に刊行されたと説明しています。十五編は北斎の死から約30年後の1878年に刊行されているため、北斎が直接出版作業に関わった巻ではありません。それでも、北斎の絵を集めた『北斎漫画』が明治時代まで求められ続けていたことを示す重要な一冊です。
掲載画像について
元記事では、国立国会図書館デジタルコレクション「北斎漫画 15編」と、ARC古典籍ポータルデータベースを参考資料として掲載しています。
国立国会図書館のPID 851660は、明治11年(1878)に名古屋の片野東四郎から刊行された十五編です。十五編については、この1878年版そのものが巻の成立時期を示す資料になります。
【参考資料】
国立国会図書館デジタルコレクション「北斎漫画 15編」
ARC古典籍ポータルデータベース
The Metropolitan Museum of Art「Hokusai Sketchbooks, vol. 15」
British Museum「Hokusai manga, vol.15」
画像目次
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※画像番号は記事内で見やすくするための整理番号で、原本の丁数とは一致しません。
『北斎漫画 十五編』画像一覧
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見どころ
十五編の大きな特徴は、『北斎漫画』という長いシリーズの最後に置かれた巻であることです。人物や動植物、風景、神話や伝説の世界など、北斎が長年描いてきたさまざまな題材が引き続き収められています。
初編が刊行された1814年から十五編の1878年まで、その間は64年に及びます。北斎本人が亡くなった後も約30年にわたって出版が続いたことは、『北斎漫画』が単なる一時代の絵手本ではなく、江戸から明治へ受け継がれた長寿シリーズだったことをよく示しています。
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