葛飾北斎の『北斎漫画』は、人物、動物、植物、風景、神仏や妖怪など、さまざまなものを描いた絵手本です。三編は文化12年(1815)ごろに刊行され、初編・二編に続いて、北斎が人や自然の姿をどのように見て線にしたのかを楽しめる一冊です。
三編には、人物、植物、動物、魚、鳥、神話や伝説に登場するもの、風景などが幅広く描かれています。中でも、江戸時代に流行した「雀踊り」を少しずつ姿勢を変えながら連続して描いた場面は、人の動きをとらえる北斎の観察力がよく分かる部分です。
『北斎漫画 三編』とは
『北斎漫画 三編』も、現代のストーリー漫画とは異なり、さまざまな形や動きを描いて見せる絵手本です。British Museum所蔵本では、30丁にわたり、人、植物、動物、魚、鳥、神話上の人物、風景などが描かれているとされています。
雀踊りの場面では、一人の踊り手を一つの姿だけで描くのではなく、踊りの途中に現れる姿勢を順番に並べています。腕や脚の位置が少しずつ変わるため、絵を左から右へ追うと、止まっているはずの人物が動き始めるように見えます。北斎が形だけではなく、動きそのものを観察していたことが伝わる描写です。
基本情報
【絵師】葛飾北斎
【作品名】伝神開手 北斎漫画 三編(でんしんかいしゅ ほくさいまんが さんぺん)
【刊行年代】文化12年(1815)ごろ
【種類】絵手本・版本
【形態】半紙本一冊
三編の刊年には書誌によって表記の違いがあります。すみだ北斎美術館とBritish Museumでは文化12年(1815)とされる一方、国立国会図書館に連携された別の所蔵書誌には1816年とする記録もあります。ここでは、すみだ北斎美術館とBritish Museumの表記に合わせています。
掲載画像について
元記事で参照している国立国会図書館デジタルコレクション「北斎漫画 3編」は、明治11年(1878)に名古屋の片野東四郎から刊行された版です。三編が最初に刊行された江戸時代の版とは異なるため、「作品の刊行年代」と「掲載画像の底本」は分けて表記しています。
【参考資料】
国立国会図書館デジタルコレクション「北斎漫画 3編」
すみだ北斎美術館「北斎漫画 三編」
British Museum「(Denshin kaishu) Hokusai manga, vol.3」
画像目次
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『北斎漫画 三編』画像一覧
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見どころ
三編の魅力は、一冊の中で扱うものの幅が非常に広いことです。人の姿から魚や鳥、植物、風景、さらに神話や伝説に関わる題材まで、北斎は同じ本の中に次々と描き込んでいます。対象によって線の使い方を変えながら、特徴が一目で伝わる形にまとめています。
とくに人の動きを追った図では、完成した一瞬の姿だけではなく、その前後の動作まで想像できます。『北斎漫画』が単なる図鑑ではなく、北斎が見た「動く世界」を線で記録した本でもあることが感じられます。
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